【山形市】博物館がクラウドファンディングする時代、地方の博物館の資金は? 山形県立博物館に予算について聞きました。
令和5年8月7日に国立科学博物館が資金難からクラウドファンディングを行い、開始から9時間で1億円を集めたという話題がありました。では山形の博物館の状況はどうなっているのでしょうか? 山形県庁・博物館文化財活用課・博物館文化財活用担当の後藤さんと、山形県立博物館副館長の安部さんから話を聞きました。
まず山形県立博物館の予算ですが、県立の施設であるためすべて県から出されているそうです。博物館の収入とは別会計になるため「入館者が減ったから収入が減り予算も少なくなる」ということはありません。「日々倹約には努めていますが、どうしても足りなくなった場合は県に申し出ています。県は一生懸命予算をつけてくれていると思いますよ」(安部さん)
令和5年度の博物館運営費は2351万円。令和4年度よりも約200万円減額されていますが、これは防虫・防カビのため隔年で実施する「燻蒸」の作業が、令和5年度は行われないため。今回特別に予算が減額になったわけではないようです。
ちなみに、今年度の来館者数は新型コロナが5類になったことで回復傾向にあり、7月7日には1万人を突破。令和3年度は21850人、令和4年度は31723人と伸びているため、今年度も期待しているそうです。
そして山形県立博物館は、霞城公園の保存整備事業に伴う移転が決まっているそう。現在は有識者懇談会を開き、新しい博物館の姿について話し合いを進めているところです。時期は基本構想段階から10年をみていますが、まだ基本構想にも至っていないため、いつになるかは未定の状態だそうです。移転先についても「霞城公園から出ていくことは間違いないが、まだまったく決まっていない」(後藤さん)とのことです。
クラウドファンディングを行う可能性については、県も博物館も「現状はまずない」と否定していました。ただ、有識者懇談会では「クラウドファンディングやボランティアなどで、ファンが博物館を支える仕組みを作ってはどうか」などの案が出ているようでした。
山形県立博物館では8月27日まで、特別展「Bones -生き物の骨格はどうなっているのか-」を好評開催中。スマトラトラやキリン、山形県に棲む生きものたちの骨格を観察することができます。夏休みのお出かけにはもちろん、博物館の未来に思いをはせながら、一度訪れてみてはいかがでしょうか。
山形県立博物館はこちら↓